米国のアトランタで
黄熱病のひどい流行があり
死者が続出したという小説がある。
シャーロック・ホームズが出てくる小説である。
ではエフィーの過去について、
私の知っているだけのことを申しましょう。
初めて知り合ったとき彼女は未亡人だったのですが、
年はまだ25ですから、若かったのです。
そのころはへブロン夫人といっていました。
彼女は若いころアメリカへ渡って、
アトランタの町に住んでいましたが、
そこでへブロンというかなり腕ききの弁護士と結婚しました。
2人のあいだには子供までできましたが、
あるとき黄熱病がひどく流行(はや span>)って、
良人(おっと)と子供を
一時になくしてしまったのです。
良人という人の死亡証明書を見たことがありますから、
これはまちがいのない事実です。
これで彼女はアメリカにいや気がさして
イギリスへ戻(もど)ってきて、
ミドルセックス州のピナーにいる
未婚の伯母(おば)といっしょに暮らすことになりました。
それは
安楽に暮らせるだけのものを
良人が遺(のこ)してくれたからでもありますが、
この金は4500ポンドばかりですのに、
よほどうまく投資されていると見えまして、
年7分の利回りになっていました。
私と知りあったのはピナーへきて6ヵ月目で、
愛しあった結果
それ� ��ら数週間後に結婚したのです。
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『シャーロック・ホームズの思い出』
(著者:コナン・ドイル。訳者:延原謙。ト33 新潮文庫。昭和28年3月10日発行。平成元年6月25日68刷改版。平成19年10月30日105刷。ISBN:9784102134030)
(コナン・ドイルの第二短編集The Memoirs of Sherlock Holmesが昭和28年3月頃に訳出されたもの)
p 59の『黄いろい顔』より引用。ただし、改行を変更した。漢数字を算用数字にした。色や文字の大きさを変更した。振り仮名をつける箇所を変更した。
著者であるサー·トーマスの最後の名前
『黄いろい顔』(The Yellow Face)は、1893年(明治26年)2月『ストランド』誌に発表されたもの。
上記小説の黄熱病のひどい流行は
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