2012年5月18日金曜日

こころの健康について


こころの健康について こころの健康、ということばから何を連想されますか?癒し、とかヒーリングとかいう言葉、はたまた昨今の、マスコミの、おどろおどろしい「こころの闇」などの報道でしょうか。それとも、私には関係ない、でしょうか。

最近は、多重人格、児童虐待、人格障害、ストーカーなどを絡めたミステリー仕立てのドラマが放映されるのをよく目にするようになりました。新刊書コーナーにも結構多いですね。

そうすることでも、こころに関連する領域が注目されるのは無視されるよりまだよいことだと思います。

しかし、マスメディアは、視聴率、購読量の関係だと思われますが、派手で人目を引く事件を多く扱い、一般市民が「精神科」「精神障害」を目にするのはこのようなフィルターや小窓を通してであることが圧倒的� ��多く、すぐ隣人である大多数の、精神の病を抱えながらも町に住み、毎日こつこつと真面目に地味に生きている人たちの暮らしぶりを知ることがほとんどないのは残念でなりません。

ここでは、出来るだけ正確に、この領域で扱われることの多い事柄を整理し、皆さんのお役に立てるようにしたいと思います。

さて、身体にも好不調の波はあり、絶好調からちょっとした不健康状態、さらには疾病という状態まで種々ありますが、これと同じことがこころの健康についてもいえると思います。

あるデータによると、1000人の人口で、1年間に何らかの精神的不調を経験するのは、のべ約300人だそうです。大半は大きな出来事や心配事に際しての不安や不眠、いらいら、抑うつ気分といったところでしょうか。このうち、医療機関には230人ほどが受診し、神経症、真性の精神疾患などで精神科の専門治療を要するのは23人ほどで、入院に至るのは6人とのことです。大規模な災害に際しては精神的な不調は全く珍しくありません。PTSD(心的外傷後遺症)という言葉もお聞きになったことがあるかと思います。


障害の社会学を食べる

眠れないというだけでも・・・

眠れない、ということだけでも、こんなことがあります。隣人の出す騒音で不眠に至った方で、3日目に幻聴体験を自覚し、受診された方もあります(この方は、当然ながら不眠解消とともに幻聴体験は消失しました)。精神的不健康は決して珍しくなく、誰がなってもおかしくない状態なのです。眠れない夜や、少し程度の激しいイライラ感は大半の人が経験するものではないでしょうか。ただでさえ現代社会はテンポが速くなっており、地球も狭くなりましたから、誰もが、精神的不健康と隣り合わせていると言ってもいいと思います。

そして、精神分裂病やうつ病は決してまれな病気ではありません。前者はどの国・地域で も、いつの時代でも、人が100人いれば一生のうち1人、多いデータでは2人が罹患する病気ですし、後者はWHOの調査結果によれば常に人口の5パーセントがうつ病と言っていい状態であるとのことです。数字から言うと、むしろポピュラーな病気です。さらに、身体不調感を主訴に医療機関には通院しているものの、検査をいくらしてみても「異常ない」「どこも悪くない」と言われている人は存外多いと聞きます。精神的につらい状況を抱えている場合であれば、むしろこころの問題である可能性もあるでしょう。

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よく見られる問題

それでは、よく見られる問題を大まかに見ていきましょう。

眠れない

昼間に強い情動興奮を経験したり、昼寝をしたり、あるいはカフェインの摂りすぎなどで一時的に眠れなくなることは珍しくありません。まず生活習慣を見直しましょう。


7日間でいびきを停止する

多いのは、神経症性不眠症と言って、「眠り」にこだわり、時計とにらめっこしながら、眠ろう、眠ろうとがんばりすぎて却って自分で目覚めさせているタイプです。ひどいと睡眠恐怖症とでも言っていいくらい、「夜が来るのがこわい」ようになります。こんな人は、「諦めの境地」でも体得すれば、安眠を取り戻すことが出来ます。1人でどうにもならなければ、適切なアドバイスと睡眠導入剤を処方してくれる医療機関を探しましょう。

気をつけなければならないのは、うつ病、躁病、精神分裂病などの精神疾患の初発症状にも、不眠が認められることです。

神経症性不眠症には、入眠障害(寝つきがよくない)が多く、客観的には眠っていることが多い� ��に対して(それでも本人にすれば「いや、一睡もしていない」のですが)、これら精神疾患に伴う不眠では、実際に睡眠時間の短縮がおこり、随伴症状も見られることが多く、専門医の診療が必要です。

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こころが高ぶって落ち着かない状態、とでも言えばいいのでしょうか。原因が分かっている場合とそうでない場合があると思います。自分でも原因に思い至らない場合、「いやなこと」を無理に忘れようとしている可能性も考えてみる必要があります。自制できるのならいいのですが、自分でもコントロールできず、物や人に直接的に当たってしまうようになったら問題です。

アルコールや薬物が原因になっている可能性もありますし、精神疾患に伴って見られる場合もあります。


女性は40とうつ病を回す
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やるべきことがあるのにいくら時間があってもやる気が起きない、そういう時に限って他のことをやりたくなる、なんてことは正常心理としてもしばしば見られることです。しかし、その程度が甚だしくなり、日常生活にも支障を来すようになれば病的であるかも知れません。うつ病で見られることが多いですが、神経症、精神分裂病、あるいは痴呆にも伴うことはよくあります。最近は無気力、回避型の若者が増えていると言われており、病的であるか否かの境界が曖昧で、問題は複雑です。 「こころの健康について」の目次へ
多数の人を前にして、何か注目されるような場面なら、緊張しない人はいないと言っていいでしょう。緊張すれば、顔が赤くなる、手・声が振るえる、心拍数が速くなる、呼吸が速くなるなど、自律神経系の症状が自覚されて当たり前です。人前でひどく緊張するため、そういう場面を避けるようになる場合を対人恐怖症というのは、よく知られています。旧くは人前で顔が赤くなってしまうのではないか、という赤面恐怖が有名です。

最近、特に有名になった「パニック障害」というのも、じつは不安・緊張に際して身体が当然引き起こす反応で、身体・自律神経症状への過度な注意集中と(死んでしまうのではないかという)不安・緊張が悪循環を引き起こしているもので、自分では身体疾患と思い込み、救急で病院へ搬� ��されることも珍しくありません。精神科では旧来「心臓神経症」「不安神経症」と呼んでいるものとほとんど同じです。

多数の本を読み、我流で治そうと試みる方もおり、それで何とかなる場合もあるでしょうが、いずれも、自分でどうにもならないレベルであれば、適切な医療を受けるとよいでしょう。その方が近道である場合も多いようです。


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もし、忘却ということがなければ、人のこころはまとまりを維持することができなくなってしまうのではないでしょうか。人は、嫌なこと、些細な、どうでもいいようなことは、忘れてしまうようにできているようです。

しかし、ものわすれも日常生活に支障を来すような程度になれば問題です。

病的な健忘は痴呆で典型ですが、「最近物忘れがひどいので、ぼけたのではないか心配」という、「ボケ恐怖症」とでも言うべき人もいます。病的な物忘れは昨夜の夕食を食べたことを忘れている、というのに対して、たとえば良性の物忘れは、そのメニューがは思い出せないが、食べたことは覚えている、と言うような違いがあります。

また、うつ病では考えがスムーズに進みにくく、思い出そうとするけれどなかなか先に進ま� ��いことがあり、そのため痴呆のように見えることがあります。

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精神障害者施策は障害者施策の中でも最も立ち遅れた部分

精神障害とは

精神疾患のために日常生活を営む上でハンディキャップが生じ、生活しにくくなることがあります。これを精神障害といいます。精神分裂病、非定型精神病、躁うつ病、精神発達遅滞(知的障害)、痴呆、てんかん、器質性精神病などでは、「生活のしずらさ」が問題となります。

すなわち、症状に伴う一次的な障害のほか、療養に伴う社会経験の乏しさ、さらには偏見・差別などの障壁により、社会で生活していく上で必要な能力を学習することができず、より一層、社会参加や生活していく上での困難が生じることを意味します。

精神障害の場合、身体障害など他の障害者対策と比較して、労働・福祉など多くの点で施策がもっとも� ��ち遅れているのが現状です。



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